Blog by zaimclinic
1. はじめに:資金繰りの鍵は現場にある
資金繰りの悩みは、多くの中小企業・製造業が直面している重要課題です。「売上は立っているのに現金が足りない」「黒字のはずが資金ショート寸前」「金融機関への返済が重荷になっている」こうした声は、決して珍しいものではありません。
経営者や財務責任者は、「資金繰り表」や「キャッシュフロー計算書」を駆使して、資金の出入りを日々確認していますが、それだけでは根本的な解決には至らないことが多いのが実情です。なぜなら、資金繰りの根本原因は経理部門ではなく、しばしば“現...
1. はじめに:なぜ今、製造業において資金繰りの改善が必要なのか
2020年代に入り、製造業を取り巻く資金環境は一層厳しさを増しています。特に中小製造業では、以下のような現実的な課題に直面しています:
- 原材料価格の高騰(特に金属、樹脂、電気部品など)
- 為替変動による仕入れコストの不安定化
- 電気代や物流費の増加
- 人材不足による人件費の上昇
- 得意先の発注数の急変や支払い遅延
こうした外部要因により、売上は横ばいまたは減少しているにもかかわらず、支出や仕入れコストは増加傾向にあります。...
1. はじめに:なぜ製造業の設備投資は資金繰りを圧迫するのか
日本の製造業、とりわけ中小企業にとって、設備投資は競争力の維持と生産性向上に不可欠です。老朽化設備の更新、新規事業への対応、自動化や省人化といった技術革新への対応など、設備投資には多くの目的があります。
しかし近年、設備投資が経営を圧迫するという声が増えています。その背景には、以下のような課題があります。
● 設備投資が利益を生むまでに時間差がある
たとえば1億円を投じて新ラインを導入しても、それがフル稼働し、利益を生むのは...
1. はじめに:資金ショートが製造業にもたらすリスクとは
製造業を営む企業にとって、「資金ショート」は経営継続に直接的な打撃を与える深刻な問題です。とりわけ中小製造業においては、わずかなキャッシュフローのズレが倒産という最悪の事態を招くことも珍しくありません。
資金ショートとは、企業の手元資金が不足し、支払うべきタイミングで必要な現金が用意できない状態を指します。黒字であっても倒産してしまう「黒字倒産」の背景には、キャッシュフローの管理不足があります。
たとえば、月末に多額の売上が計上されてい...
はじめに:なぜ黒字なのに倒産するのか?
「決算書上では黒字だったのに、資金が足りなくて支払いができない」。
こうした現象は、財務の専門用語で「黒字倒産」と呼ばれます。一見矛盾しているようですが、これは会計上の利益と実際の現金の流れ(キャッシュフロー)の違いから生じる非常に現実的な問題です。
特に製造業は、原材料の仕入れから製品の完成・出荷、売上計上、売掛金の回収まで、業務サイクルが長く複雑な構造になっています。この「タイムラグ」がキャッシュ不足を引き起こしやすく、気づいたときには資金が底...